革命的悪文日記

ネコに飼われている学生が悪文で色々書いています

「自分で考えろ」の不毛性

「自分で考えろ」という言葉はとても不毛であると思います。

人間の利点は言語を用いたコミュニケーションによって自らやその上の世代の経験を他者へフィードバックして発展できる点にあります。それを「自分で考えろ」という一言で経験を断ち切ることは、それまで積み重ねられたものを無に帰す行為であります。

中国産スズメバチが九州に侵入 在来種、環境を守りながら繰り広げる攻防戦

 そこへミツバチの天敵でもあるツマアカスズメバチが侵入したということで、現地でも大きな危機感が走りました。対馬にはもともとオオスズメバチという在来の天敵が生息していますが、ニホンミツバチオオスズメバチとともに進化してきたので、オオスズメバチの襲撃に対して対抗手段を備えています。

 それが「蜂球(ほうきゅう)」という方法で、オオスズメバチニホンミツバチの巣穴に近づいてきたら、大量のニホンミツバチの働き蜂が一斉に飛びかかって、オオスズメバチを団子状に取り囲みます。そして、身体を細かく振動させて熱を起こして、中のオオスズメバチを熱によって殺してしまいます。

 蜂球の中心部の温度は46~48℃に達することが観測されています。オオスズメバチの耐熱温度は44~46℃で、ニホンミツバチのそれは48℃を超えます。この温度差を利用して、オオスズメバチを撃退する術をニホンミツバチは進化の過程で手に入れたのです。ちなみにヨーロッパ産のセイヨウミツバチはオオスズメバチに出合うことなく進化してきたため、対抗手段を持ち合わせておらず、オオスズメバチの襲撃に遭うとあっという間に巣が全滅させられてしまいます。

ニホンミツバチは長い時間をかけて進化し"蜂球"という戦法を身につけましたが、人間はハチのような世代を跨いだ進化ではなく、言語を用いて同世代でも経験の共有ができます。そのような能力を人間が身に着けているからこそ、毒に対しての耐性を持たないのにフグを食べることができるようになりました。本もまた言語による知識の共有ができるからこそ生まれた文化であります。
人間の利点は言葉による経験の共有のできる点にあるため、「自分で考えろ」と言ってそれら積み上げてきたものを無に帰す行為は非効率的であると思います。